第十八章:中国共産党のグローバルな野望(下)
目次
3. 中国共産党式の「超限戦」
a. 「党文化」を世界に広げる
b. 自由社会を内部から崩壊させる統一戦線
c. 経済の超限戦―中国共産党の最終兵器
d. 市民を利用したスパイ工作
e. 変幻自在に変わる超限戦
4. 「中国モデル」とその破壊的な影響
5. 課題と解決の糸口
a. 宥和政策は重大な過ち
b. なぜ欧米は中国を見誤ったのか
c. 解決方法
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3. 中国共産党式の「超限戦」
中国共産党のグローバルな野望には道徳的制限がなく、法律を順守する意志もない。『共産党に対する九つの論評』(九評共産党)で論じたように、中国共産党の成長は徐々に歴史上の、内外の邪悪を少しずつ蓄積していく過程であり、その中で中国独自の九大遺伝子「邪、騙、煽、闘、奪、痞(ごろつき)、間(スパイ工作)、滅、控(コントロール)」が完成した。【1】中国共産党のグローバル化はこれらの特徴が顕著であり、巧妙さと邪悪さはさらに凄まじく、中国共産党の「超限戦」はこの邪悪な遺伝子の体現であり、同党が野望を達成する上で重要な要素である。
「超限戦」という概念は、常に中国共産党の軍拡のテーマである。1999年、二人の中国空軍大佐がこの概念を用いて軍事論を展開した。超限戦には名称の通り、次のような特徴がある。「(これは)制限も制約もない戦争である…強制あるいは非強制的な、軍事的あるいは非軍事的な、殺人的あるいは非殺人的な方法を含む、あらゆる手段で敵に自国の利益を受容させる…手段は包括的であり、情報は偏在し、どこでも戦場になる…すべての政治的、歴史的、文化的、道徳的な制約を超える」【2】
超限戦とは、「すべての武器と技術が意のままに利用される。つまり、戦争の世界と非戦争の世界、また軍事と非軍事の境界線が崩れることを意味する」。この戦争は、国家間の活動分野の領域にまで及び、金融、貿易、メディア、国際法、宇宙空間を含む全てが戦場となり得る。戦いの武器は、ハッキング、テロリズム、生物兵器、環境戦争、核戦争、電子戦、薬物売買、情報戦、密輸、心理戦やイデオロギー戦、また制裁などである【3】
『超限戦』の著者二人は、戦争の方向性として「戦争の一般化」は避けられず、また全ての分野が軍事化しなければならないと説く。軍服を着用しない多数の非軍人が超限戦のカギであり、目に見えない分野における戦争の準備を政府に提案している。【4】
一般的に、専門分野で活躍する人々は仕事場を「戦場」に例えたりするが、中国共産党のそれは文字通りの意味である。常に闘争の最中にある同党にとって全てが戦場であり、全員が戦闘員である。すべての対立は生死をかけた闘争であり、些細な問題が誇張され、原則かイデオロギーかの争点となる。中国共産党の目的のために、国全体があたかも戦争であるかのように動員される。
1940年代の国共内戦の頃、中国共産党は経済戦争を仕掛けて国民党に打撃を与えると共に、スパイ工作によって常に国民党の動きを捉えていた。中国共産党は、国民党の兵士よりも先に国民党の作戦を把握していたという。
中国共産党のルールを無視したやり方は、今日でも変わらない。むしろ、そのやり方はさらに下劣になり、規模は拡大している。すべての慣習や道徳的制約を破壊する超限戦は、欧米人や欧米政府の理解の範疇を超えている。彼らが中国共産党の行動を理解できるはずもなく、ましてやそれと戦うなど不可能である。
中国共産党はさまざまな領域において、一見ごく普通の手段を用いながらゴールに邁進している。以下は、その主な手段である。
- 対外プロパガンダで「党文化」と虚言を世界に拡散する
- グローバル規模でメディアを支配し、イデオロギー戦を展開する
- 名声、ハニー・トラップ、コネ、賄賂、圧力などを使い分けながら、国連のリーダー、各国の主要な政治家、シンクタンクや学術界の専門家、重鎮を束ね、各社会層で影響力のある人物に接近して中国共産党を支持させる
- ならず者国家を支援して扇動し、それらの国と結託してアメリカと欧米諸国を妨害する
- 貿易外交を利用して消費者10億人の中国市場をチラつかせ、自由国家同士を競わせる
- 経済統合と相互依存を深め、他国を縛り付ける
- WTOの貿易ルールに違反する
- 口先だけの改革の公約を掲げ、貿易黒字と外国為替を蓄積する
- 資本主義の旨みを吸いながら、社会主義体制を強化する
- 無制限の経済戦争の中で、市場、外為、財力を盾に人権を弾圧し、他国が道義的責任と普遍的価値観を放棄するよう強要する
- 先進国で働く中国人に情報を盗ませる
- 中国あるいは他国の市民を人質にする
a. 「党文化」を世界に広げる
中国官制テレビのロンドン支局が設立されると、求職者が殺到した。中国側の見解を報道する90の役職に対して、6000人近くの応募があった。【5】中国共産党の代弁者になりたい人がこんなにも多いということは、欧米メディアが衰退していることを意味している。中国共産党による対外プロパガンダの脅威が迫っている。
世界最大のプロパガンダ・マシーン
毛沢東はかつて新華社通信に言った。「地球を制御し、全世界がわれわれの声を聞くようにせよ」。【6】まさに、中国共産党は過去の願いを叶えたのだ。
2008年の金融危機の後、欧米メディアは経営難に陥った。中国共産党はこの機に乗じ、「偉大な対外宣伝活動」を展開した。人民日報、チャイナ・デイリー、新華社通信、中国中央電視台(CCTV)、中国国際放送(CRI)など、中国共産党の代弁メディアが世界中に支局を立ち上げた。
「南都週刊」の元ディレクター、チャン・ピンによると、中国政府は2009年に450億元(65億2千万米ドル)もの予算を「対外宣伝活動という国家戦略に」割り当てたという。中国メディアの情報によると、450億元という数字は公表されたうちの一部に過ぎない。【7】ジョージ・ワシントン大学の著名な学者がBBCに語ったところによると、2016年の時点で中国共産党は対外宣伝活動のために年間100億円を費やしたという。【8】
2018年3月、中国共産党はCCTVやCRI、中央人民広播電台などを統合し、中国共産党中央宣伝部が管轄する中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ)を設立した。この時点で、世界最大のプロパガンダ・マシーンが誕生した。新華社通信はニューヨークのタイムズ・スクエアの掲示板で中国共産党を大々的に宣伝した。2016年、CCTVはCGTN(チャイナ・グローバル・テレビ・ネットワーク)と名称を変更した。
中国共産党の対外プロパガンダ装置は日ごとに前進している。海外支局は現地化を進め、地元の記者やレポーターを起用した。2016年2月に撮影されたCCTVアメリカによる習近平のビデオインタビューを見ると、雇用されたジャーナリストの大部分は外国人である。【9】テレビ番組の内容は中国から海外へ輸出され、報道するレポーターは地元で雇用された人間である。つまり、中国メディアは対象国の特色を帯びた番組の中で中国共産党の思想を伝え、「中国=中国共産党」という図式を宣伝できる。対象国の人間を利用して中国側の物語と声を世界中に拡散しているが、それは中国の真の物語でもなければ、中国人の声でもない。
これが、中国共産党の対外宣伝活動の本質である。さらに、同党は外国人ジャーナリスト育成のための奨学金制度を設けている。海外の若者たちは中国で勉強しながら、中国共産党式のジャーナリズムを学ぶ。
一方、中国共産党はアフリカにも手を広げている。アフリカを経済的な植民地としながら、中国メディアが隅々にまで触手を伸ばしている。アフリカ大陸30カ国でサービスを提供する中国資本のスター・タイムスは、「アフリカで最速の成長を遂げ、最大の影響力を持つデジタル・メディア」と主張している。人民日報の報道によると、あるウガンダのタクシー運転手は「ますます多くのアフリカ人が中国のテレビドラマを見て、中国社会を理解している」と話したという。【10】
従来、中国共産党のプロパガンダはあまり信用されず、概ね成功することはなかった。一方、海外メディアを全面に出しながら、中国共産党を批判するメディアや個人を攻撃したり、同党を支持させたりすることは、すべて中国共産党による対外宣伝活動の一部である。
全世界のメディアを新華社通信に変える
2015年、10カ国の外務大臣たちが中国共産党による南シナ海での人工島建設を非難した。当時、米ワシントンDC州西部のラジオ局が流したニュース報道は他と違っていた。同局は中国共産党の工事に言及せず、外国勢力が事実を捏造して南シナ海の対立を深めていると報道した。【11】WCRWと呼ばれるこのラジオ局は中国共産党の見解を幅広く報道し、一切コマーシャルを流さない。同局の顧客はロサンゼルスカンパニーとG&Eスタジオのみで、G&Eの60%は中国国際放送(CRI)の資本である。G&Eは少なくとも米国全土に15の支局を設置し、ワシントンDC、ロサンゼルス、ソルトレークシティー、アトランタ、ヒューストン、ホノルル、ポートランド、バンクーバーなどで放送している。
北京のCRIは、中国系アメリカ人の名前で登録されたアメリカの会社を利用している。そして、この会社は支配株主としてアメリカのラジオ局に中国共産党のプロパガンダを放送させる。それがこのやり方の最大のメリットであり、また明らかな動機は、中国共産党が背後にいることを隠蔽することである。アメリカの聴取者を最大限に騙すには、アメリカ人自身が中国共産党を支持していると思わせることだ。
2015年、CRIは少なくとも14カ国で33支局、2018年までに35カ国で58支局を設立した。【12】宣伝活動は地元の中国系企業を通じて行われているため、人々は党のプロパガンダを嫌悪しているにも関わらず、民主国家において法的措置を取ることもできない。中国共産党は民主主義の弱点を利用している。中国共産党は民主社会で専制主義を主張し、自由社会の抜け道を利用して同党の教義を視聴者に植えつけている。まさに、民主主義の名の下で、民主主義を破壊している。
チャイナ・デイリーのページ挿入は中国語で言うところの「他人の船で航行する」手法であり、対外宣伝活動の重要な一部である。ワシントンポストに挿入されたチャイナ・デイリーのページは、読者にワシントンポストの内容だと思わせるように工夫されている。【13】ワシントンポストの他にも、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、デイリー・テレグラフ、ル・フィガロを含む30紙以上の大手メディアが中国と同様の契約をしている。小さく印字された「広告」という文字は目立たないため、読者は挿入された記事を本物の記事と勘違いしてしまう。
2018年9月23日、チャイナ・デイリーはアイオワ州の地元紙デモイン・レジスターに4ページに渡る広告を掲載した。一見、普通の記事か社説のようなレイアウトである。中身はアメリカ大統領を批判するもので、中間選挙に影響を与えるためだと指摘する人もいる。【14】
また、中国共産党は中国系メディアを操るのにも長けている。圧力と利益により、多くの中国系メディアが吸収された。その中には、かつて反共産主義を掲げていた台湾系メディアも含まれる。中国政府が支援する世界中国メディア・フォーラム(World Chinese Media Forum)には世界中の中国系メディアが招かれ、党の方針が伝えられる。 2017年9月10日、9回目のフォーラムが福州で開かれた。60カ国以上から460を超える中国系メディアの上級職員が参加した。
同党の宣伝活動の例を挙げよう。カリフォルニア州を拠点とする中国語メディア「チャオ・バオ」は、欧米で中国共産党のプロパガンダを広めている。第19回全国代表大会を特集した長い記事は、同党の公式メディアの内容とそっくりだ。【15】
2014年の香港雨傘運動の時、中国共産党が支配する海外中国メディア協会(160以上のメディアメンバーを有する)は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ、オーストラリアの親中メディア142社を動員し、「香港宣言を守ろう」と題した記事を掲載させた。中国共産党のメディア浸透が相当深刻であることを物語っている。【16】
反対意見を抑圧することも対外宣伝活動の一部である。同党の暗部を暴露するジャーナリストは渡航ビザを拒絶されたり嫌がらせを受けたりするため、やむなく自己検閲を行うようになる。そのため、圧力に屈せず、中国共産党から完全に独立した立場を取るグローバルメディアは少数である。
悪党が己をよく見せるには、いくつかの方法がある。一つ目は、彼らが自発的に悪事をやめ、善良になり、悪党であることを放棄することだ。時間が経つにつれて、人々は彼らの変化に気づくようになる。二つ目のやり方は、人々にプレッシャーを与えながら洗脳し、悪党が悪党ではないように印象づけることである。三つ目は最も大胆なやり方で、操作、虚言、ガスライティング(心理的虐待)、洗脳によって、すべての人々を悪党に変えてしまう方法だ。これが悪党を強力に守る方法である。
中国共産党は二つ目と三つ目の方法を数十年にわたって駆使してきた。大規模なプロパガンダ活動によって、外国人は中国共産党を悪党ではないと認識するようになった。同党は一部の外国人を引き込み、党に同調する悪党に変換させた。広範かつ狡猾な宣伝活動により、同党は世界中で同盟国を組織して敵国を排除し、中立国を同党の同調者あるいは悪党に仕立てるのである。
文化、文学、芸術を通して人々を洗脳する
文化的な洗脳も、中国共産党が伝統文化を破壊するための重要な手段である。同党も最近では伝統文化の復活を言い立てているが、前章で述べたように、同党は伝統の神髄を抜き取り、歪んだ偽物の「党文化」を注入している。これは世界を騙しているだけでなく、伝統文化に深刻なダメージを与えている。
中国共産党が定義した「伝統文化」が輸出され、対外宣伝活動の一部となっている。しかし、それは同党が中国の伝統的な慣習や文化を利用し、中国共産党のうわべを飾っているにすぎない。これは知覚操作、つまり洗脳だ。典型的な例は孔子学院である。
不完全なデータによると、2017年末の時点で、中国共産党は少なくとも525カ所(主にカレッジと大学)に孔子学院を開設し、145カ国以上に1113の孔子クラス(主に小学校と中学校)を設立したという。【17】孔子学院は中国政府教育部の「漢弁(ハンバン)」の監督下にあるが、一方、漢弁は中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)と密接に繋がっている。孔子学院の資金の利用は中国大使館(領事館)の管理下にある。学問の自由を脅かし、中国政府寄りのイベントを推進する。中国の歴史を歪め、中国共産党のおぞましい人権侵害を故意に省く。毛沢東の言葉を教室に飾っているクラスもある。表面的に、孔子学院は中国文化を教えると主張しているが、実際には共産主義の教義を推進し、党文化を伝えている。
文化や語学コースの他に、孔子学院は歴史を歪め、中国共産党にとって都合の悪い相手に対する抗議活動を行う。例えば、チベット問題に関して招待された講演者は、中国共産党側の言い分ばかりを述べる。朝鮮戦争の発端については、アメリカ軍が中国の村を爆撃し、中国が軍を派遣する必要があったからだと主張する学者もいる。【18】
2018年に成立した米2019会計年度国防授権法は、中国共産党によるアメリカ世論への影響、特に「メディア、文化機関、ビジネス、学問および政治団体」への影響について強く非難している。さらに、同法案は孔子学院が存在する米大学の中国語学科に対して、国防費が支払われることを禁止している。【19】
2011年9月から10月にかけて、中国政府は300人から成る舞踊団をワシントンDCのケネディー・センターに派遣し、「紅色娘子軍」(こうしょくじょうしぐん)を上演した。2016年9月、ロサンゼルスで赤軍長征の勝利80周年を記念して大々的なコンサートを催した。同時期、オーストラリアでは毛沢東死後40周年記念「赤い歌コンサート」をシドニーとメルボルンの公民館で開催する予定だった。しかし、オーストラリアの華人団体が抗議し、公演は中止となった。だが又、2017年、中国政府はオーストラリアで「紅色娘子軍」を上演し、2018年、シドニーとメルボルンでもう一つの暴力的な共産主義礼賛ダンス「洪湖赤衛隊」を披露した。
情報戦となると、専制的な中国共産党の方が民主国家よりも有利である。例えば、中国は民主国家を含む海外のメディアを遮断できるし、自国の官製メディアを輸出することもできる。外国メディアが中国メディアに広告を載せることはできないが、逆は簡単である。中国メディアが効率的と判断すれば、欧米メディアを吸収することさえもある。中国メディアが優先するのは党の利益であり、欧米のジャーナリストが主要な決定に参加することはできない。また、中国共産党は欧米メディアに覆面記者を送り込んだり、外国人を党の御用記者に育てたりすることもできる。中国共産党メディアを合法と認めている限り、欧米は対中情報戦において勝ち目はない。2018年、米司法省は新華社通信と中国環球電視網(CGTN)に対して、「外国エージェント」として登録するよう命じた。これは正しい措置だったが、まだ十分とは言えない。問題は、平等な相互関係がないことだ。
中国共産党の対外宣伝活動の意図は、同政権に対する世論を形成することであり、ある程度の成功は収めている。有毒なイデオロギーを推進しながら誤った認識を植えつけ、人々は同政権の本質、やり方、人権問題、共産主義に対して誤解する。
b. 自由社会を内部から崩壊させる統一戦線
2018年12月18日、中国共産党はいわゆる改革開放40周年を祝った。「中国の改革に寄与した国際社会に感謝するため」として、10人の外国人に「友好勲章」を授与した。その中には、北京に2008年のオリンピック開催権を与えたIOC前会長フアン・アントニオ・サマランチや、元国家主席・江沢民の半生記を綴った媚中派の著者ロバート・ローレンス・クーン(Robert Lawrence Kuhn)などが含まれている。過去数十年間、動機はともかくとして、外国の政治家や著名人たちがさまざまな役割を演じ、中国共産党を助けてきた。残念ながら、彼らは中国共産党の被害者であり、また統一戦線の共犯者でもある。
世界制覇という究極の目的のために、中国共産党はいかなる手段も利用する。これが「統一戦線」のカギとなる部分である。毛沢東は統一戦線を中国共産党の「魔法の武器」と呼んだ。国共内戦の頃、国民党政府はこの戦略に騙され、大敗した。今日、欧米政府も同様に騙され、大きな損失を被っている。しかし、最近では欧米社会も中国共産党の罠に気づき始め、統一戦線についての調査報告書が出版されている。
米国議会の中国問題委員会である米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)は2018年8月24日、「中国統一戦線の海外工作:背景と米国への影響」という報告書をまとめた。これは、中国共産党がいかにさまざまな政府あるいは非政府組織を利用しているか、またその活動がアメリカと欧米諸国に与える影響などについて詳述している。近年、中国共産党はさらに統一戦線を強化した。報告書は、「さらなる統一戦線の強化により、およそ4万人の新しい幹部を同部署に配属した」としている。【20】
欧州のシンクタンク、世界公共政策研究所(GPPI)は2018年、ヨーロッパで暗躍する中国共産党の統一戦線について報告書を発表した。【21】2018年11月29日、スタンフォード大学のフーバー研究所も同様の報告書を発表している。それによると、「中国の統一戦線はかつて海外華人コミュニティーに焦点が置かれていたが、今ではそれを遥かに超えて、シンクタンク、大学、メディアから地方、州、中央政府機関にまで及んでいる。中国は、中国の政府、政策、社会、文化に対して同調する世論を推進し、異なる見解を抑圧している。アメリカの重要人物を引き込み、中国の外交政策や経済利益を支持させている」【22】
中国共産党の統一戦線は、主に以下の欧米人を標的にしている。
政治家とビジネスマン
USCC報告書によると、中国共産党は中国内外の支持を得るうえで、統一戦線を重要な戦略と位置づけている。その中には欧米政治家の買収も含まれている。説得、誘惑、人脈を通じて、中国共産党は欧米の政府高官と密接な関係を築いている。これらの政治家たちは中国の「国家の宝」であり、豪華なプレゼントと「中国の旧友」という称号を与えられた。歴代の国連事務総長、国家元首、政府高官、国会議員、シニア政府顧問、国際組織のトップ、著名な学者やシンクタンクの研究員、メディア企業の重鎮などが含まれている。統一戦線に取り込まれたこれらの人々は、重要な場面で中国共産党支持の表明を期待されている。
元香港民政事務局長のパトリック・ホーは2018年12月、アメリカで贈賄罪に問われて起訴された。ホーは中国共産党と近く、中国のエネルギー企業に便宜を図るよう2人のアフリカ国家高官に賄賂を贈った。ホーはさらに、2人の国連議長に賄賂を贈り、中国が他国の高官と人脈を築くために便宜を図った。【23】
さらに、アメリカ裁判所の報告書は、中国の通信機器大手ZTEによる汚職とスパイ活動について指摘している。2人のリベリア政府高官の証言によると、2005~07年の間に、ZTEは大統領や政府高官、裁判官を含む多数の役人に対して多額の賄賂を贈ったと言った。
中国共産党は金銭の授受やハニー・トラップで政治家たちを取り込み、同党の手先として利用する。2014年11月の米国中間選挙後に発表された中国政府系企業CEFC(チャイナ・エナジー)の備忘録は、政治家との人脈や交友関係についての概略を述べている。贈収賄容疑で現在は拘禁されているCEFCの叶簡明前会長は、ヨーロッパの政治家たちと強力なコネがあった。彼はかつて米大統領の安全保障担当顧問に対して、シリア爆撃を止めるよう米大統領を説得できるかと聞いたことがある。なぜならば、彼にはシリアの油田を買収する計画があったからだ。叶はさらに、アメリカの中央銀行(連邦準備銀行)、国連、米政府高官の家族と交友関係があることを自慢していた。【24】
中国共産党は敵を孤立させるために、必要であればさまざまな国と一時的な同盟関係を結ぶことがある。例えば、中国共産党は発展途上国の高官たちを買収し、国連決議を可決させたり、ブロックさせたりする。アメリカによる中東安定への努力にも、代理人を通じて中国が水を差す。その間に中国共産党は多くの国々と経済同盟を結んでいる。最近の米中貿易戦争において、中国共産党はアメリカとヨーロッパを分断させているが、その意図はヨーロッパを対米統一戦線に利用することである。
地方の政治家も統一戦線の格好の獲物である。地域のリーダー、市議会議員、市長、州上院議員などが含まれる。典型的なやり方は、まず中国系企業やビジネスマンたちが中国に招かれ、多額の賄賂を受け取る。中国にいる親族のビジネスは特典を受けて潤い、彼らの支援者たちも恩恵に預かる。賄賂をもらい受けたビジネスマンたちが、今度は欧米諸国の有力者たちに献金としてお金を渡す。また、性接待、いわゆる「ハニー・トラップ」の後に脅迫するのも中国共産党の典型的な手口である。
シドニー総領事館の元外交官で2005年にオーストラリアに亡命申請した陳用林がエポックタイムス紙に語ったところによると、中央統戦部はオーストラリア政府と腐敗官僚に浸透しているという。「(オーストラリアの)官僚に渡された賄賂の金額は、政治献金を遥かに上回る。特に高位の官僚の金額は莫大である。もう一つの賄賂のやり方は、中国への無料招待旅行である。高官たちは王様のように扱われる。その中には、中国企業が受け持つ性接待も含まれる。中国旅行の後、多くの高官たちが姿勢を急変させるのはそのためだ」【25】
巨大な経済力をバックに、中国共産党は世界中の共産主義者と左翼政治家に多額の資金を提供し、各国で共産主義イデオロギーを広げている。
中国共産党は金融セクターや産業分野にも同様の手段を用いている。ビジネスマンや企業家たちは贅沢な接待とビジネスの特典を受ける。その見返りとして、彼らは中国共産党のためにロビー活動に従事し、国の金融や経済政策に影響を与える。米中貿易戦争の中、中国共産党は頻繁にウォールストリートの重鎮と接触している。数多くの金融企業や国際企業が中国でビジネスを展開している。彼らは中国でビジネスを広げるために、共産党高級幹部の多くの子弟たち、いわゆる「太子党」を雇用する。しかし、子弟たちは同党の手先となって企業内で目を光らせている。
学術界とシンクタンクに浸透する
欧米のシンクタンクは対中政策に強い影響力がある。従って、中国共産党もその分野には強い関心を持っている。フーバー研究所は、同党の資金援助によって影響力を行使していると指摘する。中国関連のシンクタンクのほぼ全ては賄賂によって中国共産党の影響下に置かれている。また、中国共産党は米国二大政党の見解を注視しており、自身のアジェンダに有利な議案を取り上げさせる。【26】
ワシントンポストは、中国企業は一部のアメリカのシンクタンクをコントロールしている。例えば、中国企業の華為(ファーウェイ)はアメリカの安全保障を脅かすだけでなく、ワシントンを拠点とするシンクタンクに資金援助をすることで影響力を与えていると報じている。【27】
華為はケンブリッジやオックスフォードを含むイギリスの20以上の大学に対しても資金援助を行っている。イギリスの安全保障専門家アンソニー・グリーズ(Anthony Glees)は、「これは中国マネーがイギリスの大学に流入し、電子に関する議案が左右されているということだ。これは国家の安全保障の問題である」と話している。【28】華為が主導する学生向けプログラム「Seeds for the Future」(将来のための種)が多くの若いエンジニアを惹きつけているが、これも共産主義が相手国を内部から転覆させる古典的な手法である。
中国共産党は海外の学者、特に中国の学者を金銭、地位、名声で買収する。それらの学者は中国共産党の美辞麗句に忠実に従い、中国共産党の「平和的な台頭」「中国の夢」「中国モデル」などについて書く。この学者の論文が間接的に欧米政府の対中政策を左右するが、これこそが中国共産党の目的である。
さらに悪いことに、過去十数年間、欧米の人権専門家や社会学者たちは共産主義イデオロギーに深刻に毒されている。中国共産党の影響力が少しでも及ぶと、これらの専門家たちは単なる左翼イデオロギーの支持者から、本格的な共産主義崇拝者に転換してしまう。
海外の中国人リーダー、ビジネスマン、留学生を脅迫する
中国共産党は海外の中国人留学生たちの愛国心を刺激し、中国政府の政策やイデオロギーに同調させることに成功した。海外の中国人を取り込むために、中国共産党は資金援助を惜しまない。「祖国への愛、親戚への情」を謳い、故意に中国と中国共産党を混同させ、海外の中国人を騙す。同党はさらに広範な組織、支持団体、スパイを利用し、異見者を孤立させる。
さらに、中国共産党はさまざまな口実を使って海外の中国人を招待し、ビジネスや投資に誘致する。海外の有力な中国人は豪華な接待旅行で親中派の外国人や中国政府高官と面会し、中国の国慶節にも招待される。
カーネギー国際関係倫理協会のザッハ・ドーフマン(Zach Dorfman)は、ニュースメディア「ポリティコ」への寄稿文の中で、シリコンバレーにおける中国とロシアのスパイ活動、特に中国に焦点を当てた報告をしている。【29】それによると、サンフランシスコの中国商工会議所(Chinese Chamber of Commerce)は中国人パワーブローカーのローズ・パクを利用し、中国人の新年パレードから法輪功、チベット、親台湾派、ウイグルを排除させたという。
USCCの報告書はさらに、いかに中国留学生会(CSSA, Chinese Student and Scholar Association)が中国共産党にコントロールされているかを指摘している。この団体はホームページ上で、一部のCSSAは地元の中国領事館あるいはその関連団体が設立したと説明している。【30】そして、そのコントロールは隠密に行われている。これらの団体は中国領事館からの指示を受け、反対意見が表に出ることはない。中国共産党路線に反対する海外留学生は領事館職員による監視、嫌がらせ、脅迫を受ける。
CSSAやその他の関連団体は産業スパイを行うこともある。2005年、フランスのル・モンド紙は、ベルギーのルーバン大学のCSSAは中国共産党のスパイ最前線であると指摘している。時には、それらのスパイ網がヨーロッパ諸国で暗躍することもある。【31】
映画と娯楽産業に浸透する
近年、中国共産党はアメリカの娯楽産業への浸透を強めている。2012年、中国の不動産・商業施設大手ワンダグループは20億6000 万ドルを投じて米国2位の映画館チェーンAMCを買収した。それ以降、映画会社レジェンダリー・ピクチャーズが35億ドルで、また米国第4位の映画館チェーン、カーマイク・シネマズが11億ドルで買収されている。【32】2016年、中国最大手の映画会社アリババ・ピクチャーズはスティーブン・スピルバーグが所属するアンブリン・パートナーズの少数株式を取得した。アリババは代理人をアンブリンの経営陣に置き、主要な経営会議に参加するようになった。【33】
中国共産党が娯楽産業に浸透する理由の一つは、同党のシナリオ通りに世界を動かすことである。中国共産党のイメージアップを図り、いわゆる「平和的な台頭」を印象づけて、世界制覇の目的を隠すことだ。同時に、このイメージアップにより党文化の輸出がいかに世界を汚染したかを隠すこともできる。1997~2013年にかけて、中国はハリウッド映画の興行収益トップ100本のうち、12本のみに投資していた。しかし、その後5年間で中国からの投資は41本に増加している。【34】
ハリウッドは中国映画市場の恩恵にあずかる一方、共産党路線から外れたら窮地に陥ることもよく分かっている。その結果、ハリウッドは自発的に中国向けの検閲を行う。【35】中国共産党に反対の立場を取るアメリカ俳優たちは入国を拒否され、あるいは彼らの映画が上映されないこともある。ハリウッドスターのリチャード・ギアはチベットに対する立場を表明した後、彼は中国への入国を禁じられただけでなく、米国でのキャリアも傷つけられた。中国共産党のご機嫌を損ねないように、映画会社がギアの出演を断るようになった。【36】同党の路線から外れたその他の映画俳優たちも中国共産党のブラックリストに載っている。
海外留学生を脅迫する
中国共産党は脅しと誘惑で欧米の学者、特に中国共産党に対して批判的な中国専門家を左右しようとする。このため、多くの専門家が自己検閲を行うようになる。脅しにはビザ発給拒否があるが、これは若い学者にとって大きな痛手である。キャリアのために、彼らはあえて人権やチベットなど敏感な問題を避けるようになった。
東アジア研究者の教授ペリー・リンクは、天安門事件に関する論文で中国共産党を批判したため、同政権のブラックリストに載せられた。彼が受けた処遇を見て、他の若い学者たちは何をすべきではないのかを、おのずと学ぶことになった。【37】
2017年10月、イギリス保守派の人権活動家で香港民主化支持派のベネディクト・ロジャースは個人旅行の時に香港空港で入国を拒否され、強制送還された。【38】
また、USCCの報告書によると、中国の諜報員は海外在住のウイグル人を探し出し、スパイとして利用しているという。要求を断れば、中国に居住している家族が迫害される。脅迫されたウイグル人によると、中国政府の目的は海外に散らばるウイグル人の情報収集だけでなく、分断を仕向け、中国共産党に対する反対意見を阻止する狙いもあるという。【39】
c. 経済の超限戦―中国共産党の最終兵器
対外プロパガンダ、知覚操作、統一戦線工作が中国共産党によるソフト・パワーであるならば、ハイテク企業は同党のハード・パワーである。1950年代、中国共産党のスローガンは「イギリスを追い越し、アメリカに追いつく」だった。もちろん、これは茶番劇に過ぎなかったが、今日の戦略は冗談では済まされないほど現実的な脅威である。
1980年代以降、中国共産党は863計画(国家高技術研究発展計画)や973計画(国家重点基礎研究発展計画)、メイド・イン・チャイナ2025(中国製造2025)を含む一連の科学技術戦略を推進してきた。同戦略には、2030年までに世界一を目指すAIの分野も含まれる。これは中国が世界の工場から脱却し、より先進的な製造大国を目指すもので、世界的に優位に立つことを狙っている。
国家が産業発展を目指すことは間違いではない。国が自国の資源を研究開発に投資し、主要産業の成長を促すのも合理的である。それでは、中国共産党のハイテク企業の成長がなぜ欧米の脅威となるのだろうか?
最も根本的な理由は、中国共産党政権下の中国が普通の国家ではないことだ。中国の技術発展は他の先進国に仲間入りすることでもなく、同等の立場で競争することでもない。その真の目的は、あらゆる手段を利用して競争相手を抹殺し、欧米経済を引きずりおろすことである。そうすれば、世界支配へとまた一歩近づく。中国共産党が科学技術を強化するのは共産主義イデオロギーに奉仕するためであり、最終的には共産主義が世界を支配するためである。
技術革新は資本主義社会で保障されている個人の自由による成果であり、専制的な共産主義とは当然対立する。中国国内にいる研究者たちは外国の検索エンジンを使用できず、言論の自由も保障されていない。従って、思想と情報が規制された中国共産党のもとでは、真の科学技術の発展は難しい。
それを補うために、中国共産党は欧米企業の技術をこっそりと盗み、優秀な人材を引き抜き、不公平な手段を使って欧米企業を弱体化させる。中国共産党は欧米が莫大な投資と長年の研究により蓄積した技術や知識を盗んできた。盗んだ知的財産を吸収し、ほんの少し改善した代物を少額の投資で大量生産し、商品として世界中に売りさばく。これが欧米の企業と経済が衰退する仕組みである。つまり、中国政権は経済の超限戦で欧米に対抗している。
市場へのアクセスと貿易戦争
近年、中国は高速鉄道を使って自国の製造品を宣伝している。つまり、「高速鉄道外交」である。中国官製メディアは、たった10年で成長を遂げたと主張し、「伝説的だ」と称賛する。しかし、外国企業にとって、中国の高速鉄道建設は技術窃盗や罠の恐怖であり、最終的には少しの利益と引き換えに大損を被る取引である。
高速鉄道プロジェクトが始まったのは1990年代初めである。2005年までに、中国政府は独自開発をあきらめ、外国企業の技術導入を決めた。中国共産党の目的は始めから明らかだ。最初に技術を取得し、それを製造し、最後に同じものをより安く世界市場に売りさばくことである。
外国企業は契約の条件として、中国企業への技術移転を約束させられる。それを拒否する企業は入札することも許されない。中国政府の「技術移転の実施評価」は、外国企業による技術指導がいかに行われているかよりも、国内企業がいかに学習しているかに焦点を置いている。もし国内企業が技術を取得していなければ、中国政府は支払いをストップする。中国政府はさらに、最後の発注案件までに、国内企業による製造が70%に達することを条件としている。【40】
外国企業にとって、中国市場は垂涎(すいぜん)の的である。いくら厳しい条件を突きつけられても、契約への意志を阻むことはできない。日本の川崎重工、フランスのアルストム、ドイツのシーメンス、カナダのボンバルディアが入札した。技術移転と引き換えに、中国市場へのアクセスを提示されたが、外国企業は中核部分の技術移転については了承しなかった。一方、中国共産党は複数の企業に働きかけ、一社でも妥協させることを狙った。案の定、一社が妥協すると、他の企業も遅れまいと次々に手をあげた。数社が罠にかかり、中国政府は上記4社から主要な技術を取得することに成功した。
中国政府はコストを省みることなく、巨額の資金を同プロジェクトに投入した。その後、中国の鉄道建設は急速に発展し、世界一長い高速鉄道網を建設した。中国は数年で外国技術を吸収し、それをいつの間にか「独自の技術」に転換した。外国企業を驚かせたのは、中国が外国で高速鉄道の特許申請を行ったことだ。中国企業は、指導してくれた外国企業に対抗し、世界市場でライバルになった。中国企業はこの分野で実質的な経験を積み、自国の巨大市場から生まれる製造規模や政府主導の資金があるため、競争相手より有利な条件がある。これも中国の一帯一路プロジェクトの重要な部分である。
中国の巨大市場を夢見た外国企業は、自身が中国市場から追い出されただけでなく、手ごわい競争相手を生んでしまったことに気づくことになった。JR東日本会長・葛西敬之は、「新幹線は日本の宝。中国への技術移転は大失敗だった」と述べている。【41】
中国共産党自身も、中国の高速鉄道の成功は、巨人の肩にのる小人(先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指す)だということをよく分かっている。実際、中国共産党の目的は、最初から他の巨人を倒すことである。同党は二つの明確な目的を持っている。短期的な目標は、経済的な発展により、同政権が合法であること、また技術発展を維持することにより、国民の愛国心を掻き立て、プロパガンダを推進することだ。長期的な目標は、共産主義システムの方が資本主義よりも効率的だと示すことである。そのため、中国政府は無節操な技術窃盗を行い、国家の経済力を総動員して自由な資本主義の私企業と競争する。
中国政府はさまざまな手段で欧米企業を脅かしている。中国市場と引き換えに技術供与を強要すること、欧米技術の吸収と改善、国有企業が国内市場で実践を積み、世界市場へと前進すること、製造品を世界市場へダンピングし、安値でライバルを打ち負かすこと。反省している企業もあるが、利益の誘惑に負け、中国共産党に群がる企業もある。中国共産党による欧米先進技術への飽くなき欲望は弱まることなく、メイド・イン・チャイナ2025はまさにそれを体現している。
2015年、中国政府はメイド・イン・チャイナ2025の10年計画を発表した。これは、2025年までに中国が世界の工場から製造大国へと転換し、2035年までにドイツや日本などの先進国を超えると主張している。2049年までに、中国共産党は主要な製造分野の技術革新を先導し、主要技術と産業のグローバル・リーダーを目指す。中国共産党は産業分野を「国家の基盤」として優遇し、「国を活性化するカギ」としている。
窃盗で成り立つ製造大国
中国はどうやって短期間に、その製造力とイノベーションを実現できるのだろうか?もちろん、使い古されたトリックを使う。最初に、高速鉄道の時のように企業を恐喝して技術を供与させる。多くの欧米企業は中国市場へのアクセスを条件に喜んで技術を提供し、同時に着々とライバルを育てる。第二に、中国企業とのジョイント・ベンチャーを外国企業に要求し、中国企業や大学が技術を取得できるようにする。第三に、中国国有企業による外国ハイテク企業の買収を援助し、主要なテクノロジーのスタートアップへの出資、また海外の研究開発(R&D)の設立を支援する。第四に、海外の大手ハイテク企業や科学研究機関に働きかけ、中国国内におけるR&Dセンター設立を誘致する。第五に、外国の技術専門家を取り込むのに有利な政策を利用する。
シリコンバレーで起業するには資本が必要である。中国は税金をシリコンバレーにつぎ込み、ロケット・エンジン、自動海軍船用センサー、また戦闘機のコックピットにも利用される、フレキシブル・ディスプレイを製造できる3Dプリンターなどの新技術を入手する。【42】シリコンバレー・バンク会長のケン・ウィルコックス(Ken Wilcox)が2017年に語ったところによると、6カ月間に三つの中国政府系企業から技術買収のエージェントになることを持ちかけられたと言う。彼はオファーを断ったが、「三つの企業は同様に、これは北京政府からの指示であり、何を買収したいのかも分からないと言った。つまり、技術ならすべてを欲しがっていた」と話している。【43】
2018年11月、米国通商代表(USTR)は、通商法第301条に基づく調査報告書を発表した。それによると、北京政府は中国企業から資金提供を受けた米投資会社ダンファー・キャピタル(Danhua Capital、現在はデジタル・ホライズン・キャピタル)を通じて、アメリカの最先端技術と知的財産を入手した。【44】
USTRの報告書は公開されている。中国のいわゆる「技術発展」は、露骨な欧米技術の窃盗である。中国の産業スパイは、過去の産業スパイを遥かに上回る。欧米の技術と機密情報を盗むために、中国共産党はあらゆる人員と資源を動員する。人的資源とは、スパイ、ハッカー、海外留学生、客員研究員、欧米企業に勤める中国人あるいは台湾人、経済利益につられる欧米人である。
中国共産党は常に米国のF-35 戦闘機を喉から手が出るほど欲しがっている。2016年、カナダ永住権保持者の中国人、スー・ビンはF-35を含む戦闘機の情報を盗んだとして、5年の禁固刑を言い渡された。スーは2人の中国軍ハッカーと共謀し、米防衛大手ロッキード・マーティン社のコンピューターから機密情報を盗み出した。調査によると、スーのグループはロッキード社のF-22ステルス戦闘機やボーイング社の軍用輸送機C-17 、さらにボーイング社のシステムから65ギガバイトに及ぶ63万件のファイルを盗んだことが判明した。【45】近年、人民解放軍が公開したステルス戦闘機「殲20(J-20)」は、米国のF-22 に酷似しており、小型の殲31(J-31)は、F-35の模造品だと言われている。
デューク大学のメタマテリアル専門家ディビッド・スミス(David Smith)は、軍用可能な「透明マント」を開発し、米軍は彼の研究に数百万ドルを費やした。2006年、中国人留学生のリュー・ルーペン(Liu Ruopeng)がスミス博士の研究室を訪れ、研究を学びたいと申し出た。FBIは、リューがスミス博士の研究を盗むためにやってきたと推定している。2007年、リューは2人の中国人の元同僚(旅費は中国政府が負担)を連れてスミス博士の研究室を訪れた。後に、「マント」製造設備にそっくりな代物が、リューの旧研究室に出来上がった。【46】
2018年12月20日、米司法省は中国人ハッカー集団APT10に所属する2人の中国人に対する訴訟を起こした。APT 10は、中国共産党と密接な関係があることで知られている。起訴状によると、APT 10は2006~18年にかけて広範囲に渡るハッキングを行い、NASAや米エネルギー省を含む45の組織から大量の情報を盗み出した。盗まれた情報は、医療、バイオテクノロジー、金融、製造、石油、自然ガスを含む。FBI長官のクリストファー・レイは次のように話す。「中国の目標は、簡単に言うと、アメリカに取って代わり、自身が世界を指導するスーパーパワーになることである。中国は不法な手段でそこに到達しようとしている。中国のやり方は非伝統的で、不法な手段であり、それは膨張している」【47】
中国による技術と特許の窃盗を防御するのは非常に難しい。元米国防諜要員のキャスリーン・パケット(Kathleen Puckett)は、中国は「スパイ活動に全部をつぎ込んでおり、なんでも無料で取ってしまう」と述べている。【48】
中国は泥棒三昧のために、それを教化し、正当化し、常態化し、軍用化する。中国は愛国心、民族的な扇情、金銭、名誉を利用し、「全面戦争」をしかけて、欧米から先進技術を略奪している。このような下劣な行為は、歴史上類を見ないだろう。
中国が盗んだものは部分的であり、それが完全な全体像を形作ることはできないし、配置や調整も難しいだろうと軽視する意見もある。しかし、中国の産業スパイを甘くみてはならない。電子時代のスパイは、写真を盗撮する程度だった過去のそれとはレベルが違う。中国は技術資料のデータベースを丸ごと入手するだけでなく、多くの場合、その専門家さえも引き抜いていく。中国は世界の工場として成長し、さらに十数年のR&D投資による蓄積もある。同政権が真に窃盗で成り立つ製造大国になる可能性がある。まさに、中国はその方向に向かっている。
千人計画:スパイ工作と人材集め
1970年代の開放政策から現在までに多くの中国人が海外へ留学し、偉業を遂げた。中国は欧米で教育を受けた優秀な中国人を確保し、彼らの技術や経済情報を入手している。これが、中国共産党の野望に拍車をかけている。2008年以降、複数の中国政府機関が千人計画に参与した。表面的には、中国が才能ある海外中国人を募集し、中国で短期あるいは長期に雇用するだけにみえる。しかし、同計画の真の目的は、国営企業が欧米の技術や知的財産を盗み出すことだ。
FBIは2015年9月、中国の千人計画に関する機密解除された文書を公開した。それによると、才能ある人材を確保することは、中国に三つの利益をもたらすという。最先端技術の研究と専門家へのアクセス、米国政府や民間資金にバックアップされた米国における長年の科学研究の利益、さらに米国経済に大きな影響を与えることである。【49】
2018年12月13日、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は中国の千人計画について報告書を発表した。それによると、外国籍の市民はアメリカ政府の給与をもらいながら、米国の知的財産を母国へ持ち帰っているという。彼らの行為は不正であり、米研究機関を脅かしていると指摘する。【50】同報告書の共同著者でNIH諮問委員会のM.ロイ・ウィルソン(M. Roy Wilson)は、千人計画に参与できる条件は、貴重な知的財産へのアクセスを持っていることだ。彼によれば、この計画は壮大で明確な目的があり、知的財産の損失は明らかである。【51】
新アメリカ安全保障センターの特任シニアフェロー、ピーター・ハレル(Peter Harrell)は話す。「中国は、技術取得に関しては社会全体でアプローチしている。海外投資による外国開発企業の買収、中国市場へのアクセスと引き換えに欧米企業に技術供与させること、国内の技術発展を促すために莫大な国家予算を投入すること、中国トップの学生たちを国費で留学させること、外国の優秀な中国人を高額で雇用することである」【52】
千人計画のターゲットは、1980年代以降に米国留学し、中国共産党政権にとって有利な産業、技術、経済情報を取得できる中国人である。潜在的には数万人いると思われる。中国共産党は中国全土の資源を総動員し、優秀な人材と知的財産に対する超限戦を仕掛けている。
邪悪な全国家システム
政府の支援と補助金は、中国共産党の重要な側面である。同政権は莫大な資金を主力産業に投入している。中国が国家資源を利用して欧米の私企業にプレッシャーを与えている。民主的に国家のリーダーを選出し、経営方針は私企業に任せる国家にとって、これは大きな挑戦である。欧米企業はゲームの前からすでに敗北している。政府から補助金を得た(もちろん同意もしていない納税者から支払われているが)中国の製造企業はコストを無視して、国際市場でがむしゃらに競争相手を突き落とすだろう。
中国政権が支援する太陽電池産業が典型的な例である。10年前、世界トップ10の太陽電池生産企業の中に中国企業は入っていなかったが、今ではトップの2社を含む6社がランクインしている。オバマ政権時代、グリーン・エネルギー産業の推進が盛んだったが、中国企業からの激しい競争に晒され、同分野のビジネスは短期間で衰退した。【53】これは中国国内企業への補助金によって世界市場でダンピングが行われたことが原因である。
欧米においても国が最先端技術を含む主要産業を支援することはある。インターネットの原型はアメリカ国防省が開発した。しかし、欧米の場合、政府の介入は限定的である。いったん技術が商業化されたら、私企業は自由にそれを扱うことができる。例えば、NASAは技術移転プログラム(Technology Transfer Program)を通じて、研究結果を産業に広めている。多くのソフトウェア・プロジェクトはソース・コードをウェブで公開している。対照的に、中国共産党は国力でハイテク技術を商業化し、「中国株式会社」として個別の欧米企業と戦う。
メイド・イン・チャイナ2025も当然、国家支援や産業計画と切り離せない。もし中国共産党が同じ路線を行くなら、太陽光電池と同じことが他の産業でも起きる。そして、中国製品が世界中で失業者を増やすだろう。無制限の経済・技術戦争の中で、中国共産党は多国籍企業を含む多くの欧米企業を罠に陥れた。私企業は資本と先進技術を売り渡したが、中国市場でフェアに競争することができず、むしろ自身を脅かすような強力なライバルを育ててしまった。中国共産党はそれらを人質にして、野望を遂げようとしている。
d. 市民を利用したスパイ工作
中国共産党のもう一つの武器は情報である。分野を問わず、国家、私企業、個人にかかわらず、いかなる情報も重要であり、戦略の道具である。
中国共産党は法律を利用して、中国人全員を超限戦に参加させる。人民代表大会常務委員会で可決された中国国家情報法は、「中国国家安全部は市民に対して、必要な支持、援助、協力を要請することができる」と明記している。【54】つまり、中国政府は中国市民に対して、情報収集やスパイになることを強制できる。この種の情報収集は歴史上初めてである。
2018年12月12日、アメリカ上院司法委員会は、中国共産党の「非伝統的なスパイ活動」についての公聴会を開いた。FBI防諜局副長官ビル・プリースタップ(Bill Priestap)が中国共産党の活動について証言した。それによると、同党は有利な場合においてルールを遵守するが、そうでなければルールの違反や破壊も行う。可能であれば、同党はルールを書き換えて、自身の要求に準じるよう世界を変えることもできる。
国家安全保障局の検事総長ジョン・デマーズ(John Demers)は、中国共産党のメイド・イン・チャイナ2025は(表向きには改善と開発を目的としているが)実質的に、何を窃盗するかのマニュアル本であると証言している。2011~18年にかけて発覚した90%以上の産業スパイが中国に関係する国家(つまり中国共産党)に関与あるいはその国を利するとされている。さらに、3分の2の営業秘密の窃盗は、中国(つまり中国共産党)と関連していると話した。【55】
中国共産党による欧米企業へのハッキングや人材の引き抜きについては前頁で詳述した。しかし、中国共産党のスパイ活動は知財窃盗に留まらない。
中国共産党は中国国内の、いわゆる名ばかりの「私企業」を利用して、海外での諜報活動を行っている。テキサス州出身のテッド・クルーズ上院議員は華為(ファーウェイ)について、「通信機器メーカーという見え透いたベールをまとう共産党のスパイ・エージェンシーである」と述べている。彼は、「その監視ネットワークは世界中に広がり、顧客はイラン、シリア、北朝鮮、キューバなどのならず者国家たちだ。ファーウェイのCFO孟晩舟(もうばんしゅう)がカナダで逮捕されたことは、チャンスであり、また挑戦でもある」と指摘する。【56】
フランス紙ル・モンドが2018年に発表した調査報告によると、アフリカ連合(AU)本部から5年間、毎日上海へ極秘情報が流れていた。中国共産党がハッキングの裏にいると同紙は指摘している。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)によれば、AU本部がある建物のネットワーク敷設はファーウェイが請け負っていた。【57】
軍事学に詳しいコペンハーゲン在住のアンドレ・ケン・ジャコブソン(André Ken Jakobsson)は話す。「懸念されるのは、中国共産党が非常に重要で敏感な情報を入手できることだ。彼らは全社会をコントロールするシステムに侵入できる。将来、すべては5Gネットワークで繋がることになる。そのような機器を提供する国家(つまり中国)がそのスイッチを握るということをわれわれは心配している」【58】
中国共産党はカメラやコンピューターのネットワーク、顔認識システムを備えたAIを活用し、偏在的な監視システムを導入している。もし止めなければ、現在中国で起きていることが世界中で起きるだろう。
また、中国共産党は大勢のハッカーを雇用している。1999年、法輪功の海外ウェブサイトに偽装した中国共産党のハッカー集団がアメリカ運輸省のシステムを攻撃した。調査が行われたところ、攻撃の源は中国共産党下の情報局であることが分かった。【59】
2015年6月、米国人事管理局が中国共産党ハッカーの被害に遭い、2150万人以上の個人情報および安全保障の情報が盗まれた。その中には、1970万人の政府職員と、その家族180万人のデータが含まれている。
2018年11月、マリオット・インターナショナルは、2014年以降の5億人に上る宿泊客のパスポート情報を含む個人情報が盗まれたと発表した。同年12月、米国務長官マイク・ポンペオはハッキング元を中国共産党と断定した。マリオットホテルは米政府および米軍関係者の多くを顧客に持つ世界最大のホテルチェーンである。
e. 変幻自在に変わる超限戦
中国共産党はさまざまな形式を利用して超限戦に臨んでいる。その中の数例を下記に述べる。
外交の超限戦
中国共産党の典型的な外交戦略は、「分割統治」である。世界中が中国共産党の人権侵害を非難していた頃、中国共産党はそれぞれ個別の国ごとに対応した。多くの国がプライベートに中国共産党と議論したものの、ただ問題を遅らせるだけで、何の成果も生まなかった。さらに、このやり方は人権を守るという国際的な規範を覆しただけだった。
中国共産党はWTOに加盟する以前から、この手法で非難と制裁を免れていた。いったんWTO加盟を果たすと、同党は経済利益をエサに多くの国を誘惑し、「分割統治」を仕掛けた。
中国共産党はさらに、人質外交というゴロツキの手段も使う。中国人でも外国人でも、要求を通すまで拘束して脅迫する。アメリカが中国に対して恒久的正常貿易関係を付与する前、中国は交渉の間、必ず国内の反体制派を逮捕し、保釈して目的を達成した。中国政府が国民の権利や命など気にかけることはないが、欧米社会が人権問題を重視していることをよく知っている。従って、同党は自国の市民を捕まえて人質にし、中国人の喉元にナイフをつきつけて、敵(つまりアメリカ)を脅している。これが中国共産党の超限戦の本質である。
急速な経済成長を遂げて、中国共産党はより大胆になった。外国人を人質にするようになったのである。2014年、アメリカの軍事情報を盗んだスー・ビン(Su Bin)が逮捕されると、中国にいたカナダ人カップルのケブンとジュリア・ガラットをスパイ容疑で逮捕した。
2018年12月1日、バンクーバーでファーウェイCFOの孟晩舟が逮捕されると、中国外交部主導の抗議活動が行われた。カナダの中国領事館は親中派を大規模に動員して抗議を行った。さらに、報復として中国共産党は3人のカナダ人を逮捕した。【60】これは、カナダに直接的な圧力を与えただけでなく、アメリカとカナダの関係にも水を差した。
「無法」が中国共産党のやり方である。中国にいる外国人は、いつでも人質になるリスクがあるし、交渉の切り札にされる可能性がある。また、中国共産党が海外在住の中国人、とくに反体制派の市民を脅迫する時は、中国国内にいる家族を人質にする。
軍事の超限戦
中国共産党は対艦ミサイルや対空母ミサイルなどの非対称的な武器を開発している。従来型の兵器の場合、中国共産党はアメリカより優位に立つために、大量の武器を購入してきた。前章で述べたように、中国共産党は経済的にも、また技術的にも成長し、サイバー戦、宇宙戦、さらには対米戦を想定した、斬新でハイテクな攻撃ベクトルの実践を可能にしている。
人民解放軍(PLA)は、望ましい戦争形態を「国家間、クロスドメイン(領域横断)、またあらゆる必要な形式を利用したもの」と公式に宣言している。PLAは理想的な戦争として「有形の国境、無形のサイバー空間、国際法、国家法、行動規範、倫理などは(PLAを)規制するものではない…(PLAは)誰に対しても責任を負わず、どんなルールにも制約されない。だれもが標的になり得るし、あらゆる方法が利用される」としている。『超限戦』の著者である二人の中国軍人が読者に問いかける。「戦場と非戦場が融合することを想像してほしい。厳密に言うと、ステルス戦闘機、巡航ミサイル、ネットワークの破壊、核戦争、金融戦争、テロリスト攻撃などである。あるいは、簡単に言うと、シュワルツコフ(アメリカ中央軍司令官)+ソロス(左派の億万長者)+モリス(モリスワームというコンピューター・ウィルスの開発者)+ビンラディンである。これが、われわれの真の切り札である」【61】
金融の超限戦
中国共産党は独自の支払システムを導入し、「経済援助」の名目で人民元の利用を推進している。これは、グローバルなインフラを構築する試みである。その目的は、世界の金融市場で人民元が米ドルに取って代わることである。中国共産党が仕掛ける金融戦とは、単に大量の紙幣を印刷して目的を達成することであり、必要であれば金融システムを崩壊させることも可能なシステムである。中国共産党系のシンクタンクは、外貨準備の武器化を主張している。
ネットの超限戦
中国共産党はファーウェイとZTEを通じて5G市場を支配し、5G標準化における優位性を確保しようと邁進している。ダラス連邦準備銀行の元理事は、「もし中国が競争に勝てば、英語が科学の分野でドイツ語に取って代わったように、彼らがインターネットのプロトコルを構築するだろう」と話している。【62】
インターネットは情報量が膨張する時代に成長した。オンラインの世界が実世界を抑制し、われわれに強烈なインパクトを与えている。現在、インターネットは5G技術を中心とする新たな成長段階に直面し、5GとAIの融合による「モノのインターネット」(IoT)へと進化している。つまり、全世界のデジタル化である。インターネットが凄まじい勢いで物質世界をコントロールし、全世界のルールが書き換えられている。もし中国共産党が5Gを支配するならば、同党は無制限に拡大していくだろう。
中国共産党の対外宣伝活動が中国支配の5Gと統合されたあかつきには、洗脳を始めとするソフト・パワーがさらに強化される。そのスケールと影響力は、現在のレベルを遥かに上回るだろう。
薬物の超限戦
トランプ大統領は2018年8月16日の閣僚会議で、中国から流入する合成オピオイド「フェンタニル」について話し、「一種の戦争だ」と語った。【63】2017年、米国全土で7万人以上が薬物の過剰摂取で死亡した。そのうち40%以上が合成オピオイド(主にフェンタニルやその類似品)である。これらの薬物は主に中国で製造され、米国へ郵便で送られるか、あるいはメキシコへ密輸された後、南西国境から流入する。【64】
中央ヨーロッパ大学のシニア研究者でフーバー研究所の客員研究員マーコス・クナラキ(Markos Kounalaki)は2017年11月、フェンタニルについて論じている。「これはまさに化学品だ。中国は対アメリカ21世紀アヘン戦争において、これを利用している」。彼は、フェンタニルが数万人のアメリカ人を殺害しているとし、中国共産党の戦略の一つだと主張する。中国にとって、この薬物は「儲けの多いアヘン輸出であり、同時にアメリカ社会を破壊し、アメリカ政府を混乱させることができる」とクナラキは述べている。【65】
人口の超限戦
2018年9月、スウェーデンへ旅行した中国人家族が騒ぎを起こし、現地警察から不当な扱いを受けたと主張した。中国大使館とメディアが誇張して報道し、中国人はIKEAやH&M (スウェーデンのブランド)の不買運動を始めた。【66】スウェーデンのテレビ局SVTは同事件を皮肉った番組を放映し、不買運動は激化した。何万人もの中国人ネットユーザーがスウェーデン大使館や番組テレビ司会者のウェブサイト、また同テレビ局のフェイスブックにアクセスした。【67】
60年に及ぶ伝統文化の破壊と、共産党文化による洗脳の成果である。中国共産党は、単に人々の愛国心をあおるだけで10億人の中国人を戦闘員に仕立てることができる。2017年、人民解放軍(PLA)創設90周年の前、中国共産党はPLAのユニフォームを個人の写真に着せることのできるソフトを開発した。数日内に、10億人がそのアプリにアクセスしたという。
中国共産党は愛国心を利用して簡単に大衆を支配することができる。なぜならば、人々は同党の真の歴史を知らないからだ。特に、人々は中国共産党の殺人の歴史を知らない。そのため、党文化に育てられた世代は、どこへ行っても党文化を表す。彼らが外国で生活すると、党文化をそのまま体現することになり、また中国政権の海外戦闘員となる。
中国共産党は、脅迫や監視をせずとも忠実に働く世代を育て上げた。これは中国共産党が自由社会を転覆するうえで強力な武器である。もし戦争が起こった場合、この人口戦は悲惨な結果をもたらすだろう。
文化の超限戦
中国共産党は中国の伝統文化と慣習という看板を掲げ、党文化を宣伝してきた。世界は中国の長い歴史と豊かな文化に興味を持っているが、理解が浅い。中国共産党はそれを十分に知っているし、その弱点を掴んでいる。いくつかの表面的な伝統文化を利用し、中国文化の真の保護者、あるいは体現者であるかのように偽装する。外国人にとってはそれの見極めをつけがたく、嘘を見抜くことは難しい。
超限戦の他の形態
1986年、中国共産党は863計画を発表し、アメリカと欧米連盟国に対して非対称ハイブリッド戦争を宣言した。その目的は、経済と軍事においてアメリカを抜き、世界のリーダーになることだ。これは嘘に基づいた、ルールを無視した戦争であり、超限戦の一部である。【68】
1989年6月4日、中国共産党は軍部と警察に対し、北京市民を装って乱闘を起こすよう命じた。暴動を理由に「鎮圧」という名の大量虐殺を実行できるからだ。法輪功に対する弾圧を正当化するために、中国共産党は法輪功学習者の「焼身自殺事件」をでっち上げた。香港の「愛と平和的手段で自由と民主を勝ち取ろう」(Occupy Central with Love and Peace)運動の時、深セン市から派遣された集団が香港で暴動を引き起こし、警察による暴力がエスカレートした。
中国共産党にとって、殺人や暗殺はごく当たり前の手段である。従って、同党はこれからも毒殺、暗殺、爆破、電力系統や交通機関のマヒなどあらゆる手段で混乱を引き起こし、欧米社会に対抗しようとするだろう。
超限戦の核心は人類の道徳を破壊し、邪悪な人間を利用して、人々を一歩一歩破滅へと導くことである。中国共産党は道徳や良心に背くよう人々を誘惑することに長けている。誘惑に弱い人間は中国共産党に対して受動的になり、あるいは積極的な共犯者になる。従って、中国共産党は政治、経済、軍事、メディア、文化、技術、教育などの分野で影響力のある人物の弱点を見つけ出そうとする。弱点とは、既得権益や欲望などであり、彼らを党の積極的な協力者に仕立てる。もし効果がなければ、次は脅しを使ったり、あるいは恐怖感や罪悪感を刺激して無理やり協力させたりする。病気を患う有力者のために、人を殺して入手した臓器を提供し、移植手術を手配することもある。
中国共産党が外国浸透に利用できる資源は常人の想像を遥かに超えるだろう。現在発覚している事実は氷山の一角である。すべての社会層、特に政治家やビジネスマンは、中国共産党の超限戦の道具である。大勢の人々が同党の罠にはまった証拠が徐々に明らかになっている。世界中の多くの国々が中国共産党のグローバルな野望に気づき、その邪悪で無節操な手法に驚いている。中国共産党の代理人たちが、時に破壊的な行動を起こしていることも徐々に明らかになっている。
4. 「中国モデル」とその破壊的な影響
ここ十数年、中国共産党や一部の欧米メディア、また学者たちは盛んに「中国モデル」「中国式」「中国の奇跡」あるいは「北京コンセンサス」という言葉を多用してきた。いわゆる「中国モデル」とは、一般的に、中国共産党による専制的な全体主義と偽物の資本主義の融合であり、「社会的な安定」と急速な経済発展を目指すことだ。正確に言うと、「中国モデル」とは「中国共産党モデル」である。つまり、人類史上類を見ないほど非道な政治形態のことである。
共産主義の合法性を宣伝し、「中国の道」を称える人々は、たいてい四つの分野における「成功」を主張する。経済成長、社会安定、世論(市民が服従するとき)、世界的な評価である。
しかし、洞察力のある人間から見れば、この四つの主張は的を射ていない。高い経済成長率は、中国共産党の歪んだ、往々にして邪悪な本質を隠すことができない。
中国政権が謳う、いわゆる「経済の奇跡」は、数十年もの間抑圧されてきた中国人のエネルギーが放出した結果であり、一部は改革開放によりもたらされた。人権蹂躙、知財窃盗、天然資源の乱開発、自然環境の破壊によって達成しただけだ。これは倫理に反し、持続可能な成長でもない。中国経済には多くの構造的な欠陥があり、現行の政治制度で解決することは不可能である。これらの問題が危機に直面した時、中国のみならず世界中が大災難に見舞われるだろう。
中国共産党の主張は空論であり、特に社会安定と世論については全く中身がない。中国共産党は圧倒的な軍事力で冷酷に人々を監視し、「安定」を保っているに過ぎない。中国共産党は国内メディアを独占しており、反対意見は早いうちから摘み取ってしまう。道徳が堕落した今日、世界で有用なバカを見つけるのは簡単である。彼らはいとも簡単に中国の友人となり、中国共産党を賛美する。しかし、中国共産党の「中国モデル」は、同政権の凶悪な犯罪を隠すことはできない。
中国共産党は常に、伝統文化、正統な道徳、普遍的価値観に対抗する。今日の中国共産党は悪の枢軸であり、人類の敵である。もし世界がこれに気づくことなく、同政権に対する何らかの対応を怠れば、全世界に災いをもたらすだろう。その理由は以下の通りである。
中国は広大な領土と膨大な人口を有している。世界第二の経済大国となり、2010年以降は核兵器と共に世界第2の軍事力を備えている。歴史上、中国共産党と同程度の経済力と軍事力を備えた強権政治は存在しない。中国共産党は最も邪悪で奇形な現代の全体主義と、古代中国の戦法を吸収している。従って、中国共産党がルールに従うことはなく、その戦法は複雑で冷酷であり、他国のリーダーたちが理解することはできない。
中国共産党は13億の中国人を人質にして巨大市場を誇示し、世界の資本やビジネスマン、政治家たちを惹きつけた。エサに釣られた人々は中国共産党の人権侵害に目をつぶり、あるいは犯罪に手を貸した。
中国共産党は8000万人の中国人を殺害した。近年、同党は法輪功学習者、地下教会、チベット人、ウイグル人、反体制異見者、また社会の底辺層にいる人たちに対して数えきれないほどの罪を犯してきた。同政権が崩壊すれば、これらの罪は白日のもとに晒され、正義の下で裁かれるだろう。この運命から逃れるために、中国共産党は邪悪の道をひた走り、迫害を強化しながら、世界の舞台から降りようとしない。あたかも常習犯のように、中国共産党は逃亡しながら、より凶悪な犯罪に手を染めて自身を守ろうとしている。
中国共産党は、人間世界における共産邪霊の主な代理人である。中国共産党は消滅する運命にあるため、常に危機感と恐怖に苛まれている。そのため、中国共産党は非常事態に直面すると、どんな方法もかまわず、極端な手段に訴えて前進を続ける。絶え間ない危機感から、中国共産党は世界秩序を維持するアメリカを主要な敵とみなし、密かにアメリカを倒し、世界支配を目論む。
同時に、中国共産党はさまざまな手法で中国共産党モデルと共産主義イデオロギーを輸出し、世界中を汚染している。一帯一路プロジェクトは、まさに同党の地政学的な野望を剥きだしにした。最も恐るべきことは、中国共産党がアメリカとの全面戦争に臨んでいることだ。同党の決意は固く、留まることはないだろう。
ソフト・パワーやハード・パワー、あるいはシャープ・パワーを含む中国共産党の全ての野望は道徳を完全に無視している。伝統的な道徳と普遍的価値観を徹底的に打ち壊すという大きな野望に向かっている。中国共産党のゴールは邪悪帝国として君臨し、世界を支配することだ。全体主義で世界を抑圧し、世界の警察国家になる。その末路は、洗脳、マインド・コントロール、大規模な監視、私有財産の廃止、無神論、宗教と伝統文化の廃止、無制限な肉欲、腐敗、道徳の退廃である。同党の目的は世界を貧困と混乱に陥れ、人間を野獣化し、人類を奈落の底へと引きずり込むことだ。これは共産邪霊が人類を破壊するために按配した道筋である。
中国共産党は独特な政権(機器)であり、社会現象でもある。その存在の目的は、神が人類に与えた伝統文化と普遍的価値観の破壊である。もし、人類を数千年間支えてきた正統な道徳が本当に破壊されたら、その結末は全人類の絶滅である。従って、中国共産党は軍事、経済、科学技術の発展に専心するだけでなく、無神論や歪んだ善悪のイデオロギーを必死に世界へ押し付ける。中国共産党はさまざまな手法で世界の政治家やメディア有力者に接近し、党文化をその国々に浸透させている。同党の目的は、それらの有力者を通じて主流社会に浸透し、社会全体を中国共産党と共に堕落させることだ。これが、中国共産党が世界で宣伝する「中国モデル」の本質である。
5. 課題と解決の糸口
a. 宥和政策は重大な過ち
雑誌エコノミストは2018年3月、「いかに欧米が中国を見誤ったか」という記事の中で、中国が民主化し、市場経済へ移行すると期待した欧米諸国を批判した。同記事は、欧米諸国の「ギャンブル」が失敗に終わったと結論づけている。中国共産党政権下の中国は市場経済ではなく、今の路線が続けば決してそうなることもない。反対に、中国共産党はビジネスと貿易を国家権力の延長とみなし、コントロールするだろう。同党はその独占力でグローバル経済を形成し、金銭で貿易相手国を操る一方、非協力的な国家や個人に対しては容赦なく罰を与える。【69】
世界制覇を公言する中国共産党は、世界中の国々にとって深刻な脅威である。嘆かわしいことに、多くの国家や政府、政治家たちが中国共産党の仲間となり、その危機に気づいていない。まるで「トラを養いて自ら患(うれ)いを遺(のこ)す」という中国のことわざのようである。
中国はもともと経済的に脆弱であり、中国共産党は崩壊寸前だった。先進欧米諸国の多国籍企業、ハイテク巨大企業、大手金融会社が救いの手を差しのべたため、中国共産党は屈強な悪の枢軸に成長し、数十年も生きながらえた。同党はその影響力を拡大し、厚かましくもアメリカ陣営に戦いを挑んできた。
安全保障専門家のマイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)は、欧米が中国に対して非現実的な期待を持ち続けていると指摘する。欧米諸国が抱いた期待とは、必然的な民主化であるとか、同党がアメリカ式の資本主義を望むとか、あるいは国際的な社会秩序に同化するとか、米中交流は全面的な協力をもたらすとか、同党のタカ派は弱いなどである。ピルズベリーは、アメリカ政府が直ちに現状を直視し、対抗策を取らなければ、中国共産党が勝利するだろうと論じている。【70】
ホワイトハウスの元首席戦略官ステーブ・バノンも警告している。「中国の指導層には、ルールに基づいた、自由で開かれた戦後の国際秩序に準じようという意志は全くない。彼らには彼らの計画があり、その計画を積極的に実行している」【71】この計画とは、中国共産党が国家権力を使って主要なグローバル企業を支配し、大胆に領土を拡大し、テクノロジーと金融分野でグローバルな覇者となることである。もちろん、それは一般的な世界のルールや行為を無視して進められる。
b. なぜ欧米は中国を見誤ったのか
欧米が中国を見誤ったのには、いくつかの理由がある。前章で詳述した共産邪霊による複雑な按排、カメレオンのように変化する二枚舌の中国共産党、また自由社会が中国と中国共産党を混同したこと、などが挙げられる。また、個人や企業、国家全体を含む多くの欧米諸国が目先の利益に目がくらんだこともある。これが中国共産党にさらなる隙を与えてしまった。
道徳的に腐敗した中国共産党は、自由社会で道徳の堕落した人間に目をつける。些細な利益に目がくらむ人々は中国共産党の浸透を助け、彼らが自国の社会を根底から腐敗させる。アメリカが過去に採用した対中政策を詳細に分析すればよく分かる。それらは概ね短期的な利益を追求する政策であり、アメリカに長期的な利益をもたらすものでもなければ、建国の精神に準ずるものでもなかった。
人類の栄光と権威は神から授かったものであり、それは人間の道徳水準によって定められている。民族や国家の繁栄と強さも、彼らの道徳水準によって決められる。人間が通常の手段を使って邪霊の按排を否定することはできない。欧米が中国を見誤ったのは明らかである。どんな人的手段をもってしても、彼らは邪悪の手中にある人々を救うことはできない。
多くの政府、大企業、ビジネスマンたちは、道徳心を犠牲にしながらも、表向きは中国共産党から利益を得たかもしれない。しかし、最終的に彼らは得るよりも失うほうが多くなるだろう。このような不正な利得、浅はかな利益は有害である。目先の利益に屈しない人間にだけ明るい未来がある。
中国共産党は一般的な政党あるいは政権ではなく、中国の人々を代表しているわけでもない。それが代表しているのは共産邪霊である。中国共産党とつき合うということは、悪魔と結びつくということ。中国共産党の友人になるということは、悪魔に妥協し、協力し、人類を破滅へ導く手助けをするということだ。反対に、中国共産党に対抗するということは、善悪の戦いに参加するということである。これは、単なる国益をかけた戦いではない。これは人類の将来をかけた戦いである。
c. 解決の糸口
今日、中国と全世界は岐路に立たされている。中国人、そして膨大な血の遺産を背負っている中国共産党が真の改革を行うことは期待できない。中国は、中国共産党から解き放たれてこそよくなるだろう。悪性腫瘍のように、中国共産党を除去すれば中国は生き残る。
世界の人々にとって、中国は礼儀と道徳を重んじる古代文明の大地である。中国共産党から解放されれば、中国はもう一度、真の文明国家の一員になれるだろう。豊かな人間と資源、多様な古代の伝統、文化遺産を擁する中国は、人類の貴重な財産となれるだろう。
困難な時代に直面し、ますます多くの中国人が中国共産党の邪悪な本質に気づき始めている。『共産党に対する九つの論評』が2004年11月に出版されてから、多くの人々が道徳心と勇気を取り戻し、共産邪霊から離れると宣言した。3億人以上の中国人が中国共産党とその関連組織からの脱退を表明した。もし、自由社会がこの潮流を支持し、邪霊との関係を断ち切ることができれば、中国共産党はグローバルに展開している計画を続けられないだろう。
強大に見えたソビエト連邦は一晩で崩壊した。中国共産党は世界に牙を剥いているが、世界全体がその邪悪な本質に気づき、正しい選択をすれば、同党も急速に解体する。
中国共産党の台頭は、道徳の退廃、あるいは既得権益を追及し目がくらんだ人々によってもたらされた。この運命から逃れるには、人々が道徳心と勇気を結集し、伝統文化を復活させ、神々への信仰を堅持することである。
中国共産党のような邪霊を倒すには、単に人的パワーに頼ることは不十分である。共産邪霊は人間より遥かに強大な力を持ち、またそれは中国共産党が拡大し続ける原因でもある。しかし、邪霊は神の敵ではない。人間が神の側に立ち、神々の意志に従うのであれば、人間は恵みを受け、偉大な力を授かるだろう。
中国共産党は人類の敵である。中国共産党の野望に対抗することは、人類文明と将来を救うことだ。中国共産党は絶滅する運命にある。従って、中国共産党を拒絶するということは、一緒に絶滅させられる運命から脱出するということだ。それが、真に人類が救われる道である。
第十八章(上) | 終わり |
参考文章
[1]《九评共产党》,〈第二章 评中国共产党是怎样起家的〉,《大纪元新闻网》,http://www.epochtimes.com/gb/4/11/21/n723946.htm。
[2]乔良、王湘穗:《超限战》(北京:解放军文艺出版社,1999),页1,页62。
[3]乔良、王湘穗:《超限战》(北京:解放军文艺出版社,1999),页1,页63。
[4]乔良、王湘穗:《超限战与反超限战:中国人提出的新战争观美国人如何应对》(北京:长江文艺出版社,2016)。
[5]Louisa Lim and Julia Bergin, “Inside China’s Audacious Global Propaganda Campaign,” The Guardian, December 7, 2018, https://www.theguardian.com/news/2018/dec/07/china-plan-for-global-media-dominance-propaganda-xi-jinping.
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[8]〈中国每年用“100亿美元推动外宣攻势”〉,《BBC中文网》,2016年6月10日,http://www.bbc.com/zhongwen/trad/press_review/2016/06/160610_uk_press_china。
[9]“Chinese President Xi Jinping Visits with CCTV America via Video Call,” CGTN, February 19, 2016, https://america.cgtn.com/2016/02/19/chinese-president-xi-jinping-visits-with-cctv-america-via-video-call.
[10]苑基荣:〈中国电视剧热播非洲大陆〉,《人民日报》,2015年1月5日,第3版,https://web.archive.org/web/20160206004955if_/http://paper.people.com.cn/rmrb/html/2015-01/05/nw.D110000renmrb_20150105_3-03.htm。
[11]Koh Gui Qing and John Shiffman, “Beijing’s Covert Radio Network Airs China-friendly News across Washington, and the World,” Reuters, November 2, 2015, https://www.reuters.com/investigates/special-report/china-radio/.
[12]Louisa Lim and Julia Bergin, “Inside China’s Audacious Global Propaganda Campaign,” The Guardian, December 7, 2018, https://www.theguardian.com/news/2018/dec/07/china-plan-for-global-media-dominance-propaganda-xi-jinping.
[13]James Fallow, “Official Chinese Propaganda: Now Online from the WaPo!” The Atlantic, February 3, 2011, https://www.theatlantic.com/international/archive/2011/02/official-chinese-propaganda-now-online-from-the-wapo/70690/.
[14]Donnelle Eller, “Chinese-backed Newspaper Insert Tries to Undermine Iowa Farm Support for Trump, Trade War,” Des Moines Register, September 24, 2018,https://www.desmoinesregister.com/story/money/agriculture/2018/09/24/china-daily-watch-advertisement-tries-sway-iowa-farm-support-trump-trade-war-tariffs/1412954002/.
[15]Bethany Allen-Ebrahimian,”Beijing Builds Its Influence in the American Media,” Foreign Policy, December 21, 2017,https://foreignpolicy.com/2017/12/21/one-of-americas-biggest-chinese-language-newspapers-toes-beijings-party-line-china-influence-united-front/.
[16]〈占中揭开红色渗透142家海外党媒体瞬间曝光〉,《新唐人电视台》,2014年10月6日,http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2014/10/06/a1143788.html。
[17]Jeffrey Gil, “Why the NSW Government Is Reviewing Its Confucius Classrooms Program,” The Conversation, May 17, 2018, http://theconversation.com/why-the-nsw-government-is-reviewing-its-confucius-classrooms-program-96783.
[18]China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, US-China Economic and Security Review Commission, August 24, 2018, 5-6, https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China%27s%20Overseas%20United%20Front%20Work%20-%20Background%20and%20Implications%20for%20US_final_0.pdf, 14.
[19]John S. McCainNational Defense Authorization Act for Fiscal Year 2019, House of Representatives, https://docs.house.gov/billsthisweek/20180723/CRPT-115hrpt863.pdf.
[20]China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 5-6.
[21]Thorsten Benner, et al, “Authoritarian Advance: Responding to China’s Growing Political Influence in Europe,” Global Public Policy Institute (GPPI), https://www.gppi.net/media/Benner_MERICS_2018_Authoritarian_Advance.pdf.
[22]Chinese Influence & American Interests: Promoting Constructive Vigilance(Stanford,California: Hoover Institution Press, 2018), https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/chineseinfluence_americaninterests_fullreport_web.pdf.
[23]Jenni Marsh, “Ex-Hong Kong Politician Faces Jail after Bribery Conviction in US,” CNN, December 5, 2018, https://www.cnn.com/2018/12/05/asia/patrick-ho-bribery-conviction-intl/index.html.
[24]Alexandra Stevenson, David Barboza, Matthew Goldstein and Paul Mozur, “A Chinese Tycoon Sought Power and Influence. Washington Responded,” The New York Times, December 12, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/12/business/cefc-biden-china-washington-ye-jianming.html.
[25]骆亚:〈专访陈用林:中共全面渗透澳洲内幕〉,《大纪元新闻网》,2017年6月19日,http://www.epochtimes.com.tw/n215385。
[26]Chinese Influence & American Interests: Promoting Constructive Vigilance(Stanford,California: Hoover Institution Press, 2018), https://www.hoover.org/sites/default/files/research/docs/chineseinfluence_americaninterests_fullreport_web.pdf.
[27]Isaac Stone Fish, “Huawei’s Surprising Ties to the Brookings Institution, The Washington Post, December 8, 2018, https://www.washingtonpost.com/opinions/2018/12/08/chinese-companys-surprising-ties-brookings-institution/?utm_term=.2720ba57db52.
[28]〈华为资助英国大学研究被指为“军工行动”〉,《BBC中文网》,2018年12月14日,https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-46558032。
[29]Zack Dorfman, “How Silicon Valley Became a Den of Spies,” Politico, July 27, 2018, https://www.politico.com/magazine/story/2018/07/27/silicon-valley-spies-china-russia-219071.
[30]China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 11-12.
[31]China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 10-12.
[32]高山:〈中国万达:20亿美元买下美国两家电影公司〉,自由亚洲电台,2016年8月23日,https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/jingmao/hc-08232016102649.html。
[33]崔鹏:〈阿里影业入股Amblin Partners 马云投资斯皮尔伯格〉,《搜狐网》,2016年10月9日,http://www.sohu.com/a/115703678_115565。
[34]Amy Qin, Audrey Carlsen:〈中国如何重写自己的剧本〉,《纽约时报中文网》,2018年11月19日, https://www.nytimes.com/zh-hant/interactive/2018/11/19/world/asia/china-movies.html。
[35]Ben Fritz and John Horn, “Reel China: Hollywood Tries to Stay on China’s Good Side,” The Los Angeles Times, March 16, 2011, http://articles.latimes.com/2011/mar/16/entertainment/la-et-china-red-dawn-20110316.
[36]林坪:〈揭秘中国锐实力(五)美国电影娱乐业〉,自由亚洲电台,2018年9月7日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl5-09072018150445.html。
[37]林坪:〈揭秘中国锐实力(三)美国学术界、高校〉,自由亚洲电台,2018年9月5日,https://www.rfa.org/mandarin/zhuanlan/zhuantixilie/zhongguochujiaoshenxiangshijie/yl3-09052018122139.html。
[38]〈英保守党人被拒入境香港 约翰逊表关切〉,《BBC中文网》,2017年10月12日,https://www.bbc.com/zhongwen/trad/chinese-news-41591196。
[39]China’s Overseas United Front Work: Background and Implications for the United States, 7-8.
[40]高铁见闻:《高铁风云录》(长沙:湖南文艺出版社,2015),第五章〈中国高铁三国杀〉。
[41]Sankei Shimbun, “Japan’s Transfer of Bullet Train Technology a Mistake. China, of Course, Has Copied It,” Japan Forward, August 18, 2017,https://japan-forward.com/japans-transfer-of-bullet-train-technology-a-mistake-china-of-course-has-copied-it/.
[42]孟宝勒,Jane Perlez:〈中国资本进入美国敏感科技领域,五角大楼警觉〉,《纽约时报中文网》,2017年3月23日,https://cn.nytimes.com/business/20170323/china-defense-start-ups/。
[43]同上。
[44]Office of the United States Trade Representative Executive Office of the President, Update Concerning China’s Acts, Policies and Practices Related to Technology Transfer, Intellectual Property, and Innovation, November 20, 2018, https://ustr.gov/sites/default/files/enforcement/301Investigations/301%20Report%20Update.pdf, 46.
[45]Justin Ling, “Man Who Sold F-35 Secrets to China Pleads Guilty,” Vice News, March 24, 2016, https://news.vice.com/en_us/article/kz9xgn/man-who-sold-f-35-secrets-to-china-pleads-guilty.
[46]Bobby Yip, “Education or Espionage? A Chinese Student Takes His Homework Home to China,” NBC News, July 24, 2018,https://www.nbcnews.com/news/china/education-or-espionage-chinese-student-takes-his-homework-home-china-n893881.
[47]“Chinese Hackers Indicted,” FBI News, December 20, 2018, https://www.fbi.gov/news/stories/chinese-hackers-indicted-122018.
[48]Zach Dorfman, “How Silicon Valley Became a Den of Spies,” Politico, July 27, 2018,https://www.politico.com/magazine/story/2018/07/27/silicon-valley-spies-china-russia-219071.
[49]“FBI Counterintelligence Note: Chinese Talent Programs,” FBI, September 2015, https://info.publicintelligence.net/FBI-ChineseTalentPrograms.pdf。
[50]Lawrence A. Tabak and M. Roy Wilson, “Foreign Influences on Research Integrity,” Presentation at the 117th Meeting of the Advisory Committee to the Director, NIH, https://acd.od.nih.gov/documents/presentations/12132018ForeignInfluences.pdf.
[51]Lev Facher, “NIH Report Scrutinizes Role of China in Theft of U.S. Scientific Research,” STAT, December 13, 2018, https://www.statnews.com/2018/12/13/nih-report-scrutinizes-role-of-china-in-theft-of-u-s-scientific-research/.
[52]Jennifer Zeng, “Communist China Poses Greatest Threat to US and World, Senators Told,” The Epoch Times, December 17, 2018, https://www.theepochtimes.com/senate-told-communist-china-poses-greatest-threat-to-us-and-the-world_2738798.html.
[53]Keith Bradsher, “When Solar Panels Became Job Killers,” The New York Times, April 8, 2017,https://www.nytimes.com/2017/04/08/business/china-trade-solar-panels.html?_ga=2.209817942.255138535.1542571491-142437734.1525387950.
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[56]Megan Henney, “US Leaders React to Huawei CFO Arrest: ‘A Threat to Our National Security’,” Fox Business, December 6, 2018, https://www.foxbusiness.com/markets/us-leaders-react-to-huawei-cfo-arrest-a-threat-to-our-national-security.
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[61]乔良、王湘穗:《超限战》(北京:解放军文艺出版社,1999),页61。
[62]Eri Sugiura, “China’s 5G a Bigger Threat than Trade War, Says Ex-Dallas Fed Chief,” Nikkei Asian Review, September 24, 2018, https://asia.nikkei.com/Economy/China-s-5G-a-bigger-threat-than-trade-war-says-ex-Dallas-Fed-chief.
[63]Gregg Re, “Trump Declares Opioids from Mexico, China ‘Almost a Form of Warfare,’ Tells Sessions to Sue Drug Makers, Fox News, August 16, 2018, https://www.foxnews.com/politics/trump-declares-opioids-from-mexico-china-almost-a-form-of-warfare-tells-sessions-to-sue-drug-makers.
[64]Kirsten D. Madison, “Stopping the Poison Pills: Combatting the Trafficking of Illegal Fentanyl from China, Prepared Statement Before the Senate Caucus on International Narcotics Control,” U.S. Department of State, October 2, 2018, https://www.state.gov/j/inl/rls/rm/2018/286384.htm.
[65]Markos Kounalakis, “China Is Using Fentanyl in a Chemical War against America,” Mcclatchy DC Bereau, November 2, 2017, https://www.mcclatchydc.com/opinion/article182139386.html.
[66]Anna Fifield, “China’s Row with Sweden over a ‘Racist’ TV Skit Has Citizens Urging Boycotts of Ikea and H&M,” The Washington Post, September 26, 2018, https://www.washingtonpost.com/world/2018/09/26/chinas-row-with-sweden-over-racist-tv-skit-has-citizens-urging-boycott-ikea-hm/?noredirect=on&utm_term=.15e1b22bc530.
[67]Xinmei Shen, “How China’s Army of Online Trolls Turned on Sweden,” Abacus News, September 26, 2018, https://www.abacusnews.com/digital-life/how-chinas-army-online-trolls-turned-sweden/article/2165747.
[68]T. Casey Fleming, Eric L. Qualkenbush, and Anthony M. Chapa, “The Secret War against the United States,” The Cyber Defense Review, Vol. 2, Number 3, Fall 2017, 25-32, https://cyberdefensereview.army.mil/Portals/6/Documents/CDR-FALL2017.pdf.
[69]“How the West Got China Wrong,” The Economist, March 1, 2018,https://www.economist.com/leaders/2018/03/01/how-the-west-got-china-wrong.
[70]Michael Pillsbury, The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower(New York: St. Martin’s Press, 2015), “Introduction.”
[71]Steve Bannon, “Speech at the 12th InterEthnic/InterFaith Leadership Conference,” November 15, 2017, https://www.youtube.com/watch?v=OMp8F2tL66I.